悩ましい解体費

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イラスト著作者:
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不動産の鑑定やコンサルティングを行っていると、築古建物や構造物等の解体費を想定しなければならないケースが結構あります。

 

先日も某社の営業所を取り壊す費用を想定したのですが、なかなか精度を出すのには苦労致しました。

 

一般財団法人建設物価調査会「建築コスト情報」にも解体工事費が掲載されているページがありまして、主にまずここを基準として出すことが多いです。

 

ただ、解体費は、地方ごとに相場が違います。

 

同誌2017年1冬号では、木造住宅の解体費が掲載されていますが、手こわし解体(上屋の解体)で、東京と札幌では㎡当たり620円違います。

 

解体方法でもかなり違って、上屋の解体で東京の場合、手こわしが6,360/㎡、手こわし併用機械解体で3,910/㎡となっています。

 

それから、部位によっても当然違って、東京の場合、基礎(有筋:手こわし)は8,070円/㎡と上屋よりは割高になっています。

 

当然と言えば当然ですが、建物にアスベストがある場合は、飛散しないように解体しなければならないので、かなり割高になります。特に吹付けアスベストを除去する場合は、㎡(除去面積)当たり10万円なんてケースもあるようです。

 

また、敷地の形状によっても割高になる場合があります。例えば敷地延長(旗竿地)の敷地は工事しにくいので割高になってしまいますね。

 

上記は解体業者さんの諸経費等は含まれておらず、廃材の処分費用を含めると、諸経費は30~50%程度は見ておいたほうが良いと思います。

 

一方、ざっくり解体費を見積もるのであれば、ネットで建物解体費と検索すると色々なサイトで相場が把握できる場合もあります。各業者さんで結構違うのですが、同じ物件で比較しているわけではないので、一概には何とも言えません。また、実際に解体することが決まっている方は、ネットで相見積を取れるサイトもありますので、利用してみるのも手かもしれません。

 

実は解体費がネックになる物件もあります。特に杭基礎の杭は、抜くのにかなりの費用がかかります。杭を抜かない場合もありますし、再建築する際に邪魔になるのであれば抜く費用も考えなければなりません。杭の長さ等によっても撤去費用が違いますので、やっかいな試算になります。

 

少し混乱させるとうな内容になってしまいましたが、解体費を突き詰めると奥が深く、簡単なようで、想定するにはなかなか時間が掛かるものだということだけ、頭の隅において頂ければと思います。