柏市の2017年地価公示価格(住宅地)

随分とご無沙汰してしまいましたが、約一カ月振りの投稿となりました。

3年に一度の大仕事の納品が先ほど終わり、少々ホッとしている状況です。

2017年地価公示の公表が先週の21日にありましたが、やっとコメントできる状況になりました。

既に、色々な媒体で記事になっていますが、全国の住宅地域の中で最大下落地点が千葉県柏市に存在致します。

私が所属する分科会で担当した地点であり、直接の担当ではないものの、その価格水準については分科会内で議論した経緯がございます。

まさか日本で一番下落した地点になるとは思っていなかったのですが、直接担当した不動産鑑定士はかなりの数の取引事例、売募集事例を時間軸で捉え、分析したため、発表した価格は精度の高い適正な価格になっていると思います。

 

一方、柏市の住宅地域は全て下落しているわけではなく、上昇しているポイントもございます。

内訳としては以下の通りになります。

名称未設定 1

 

住宅地79ポイント(1ポイントは新規ポイント)のうち、上昇地点が12地点、横這い地点が15地点、下落地点が51地点、新規のためカウントなしが1地点となっています。

 

割合でいうと、上昇約15%横ばい約19%下落約65%、ノーカウント1%となっています。

 

柏市の住宅地域全体では、一年間の変動率は△0.9%で、下落率は昨年度と同率になっています。

 

ちなみにお隣の松戸市の住宅地域全体では+0.4%で、昨年度に引き続きやや上昇となっています。

 

柏市内で上昇した地点の駅距離を見てみますと、最短で徒歩4分、最長で25分という範囲になっており、平均は11.9分という結果となっています。なお、25分で上昇した地点は、人気の住宅地に隣接した地域で、利便施設が比較的多く、道路のアクセスも比較的良好な地点となっています。

 

私は徒歩10分程度で上昇、横ばいの分岐点が来るかと思っていましたが、やや長く、12分弱程度という結果となりました。

 

ただし、駅距離が12分以上の地点で上昇している地点の最寄駅は「柏」駅限定となっており、従前から人気の高いエリアだったり、その隣接地域だったりします。

 

逆に、東武野田線沿線各駅や常磐線「北柏」駅最寄りであると、徒歩10分以内でも上昇していないポイントが存在します。

 

柏市は、「」駅最寄り、東武野田線沿線駅、常磐線「南柏」駅最寄り、「北柏」駅最寄り、TX線沿線各駅等(それぞれ徒歩圏、バス便)で価格推移が変わっておりますので、一口には言えない状況となっているというのが正直なところだと思います。

 

柏市は上記で述べた通り、エリアによって価格推移が変わってくるのですが、住宅地域79地点のうち、徒歩12分未満が20地点強しかないため、必然的に下落傾向に陥りやすい市域だと言えましょう。これはある意味、政策的に地点を設置していないためで、市内の地価を実態を知るために必要な地点を吟味して設置している結果で致し方ないと考えます。

 

もう一点付け加えますと、TX沿線の「柏の葉キャンパス」駅、「柏たなか」駅は区画整理事業は施行中で、駅近の地価公示地点が少ないという影響もございます。実際、この2駅の駅近住宅地域はかなり価格が上昇しているのが実態です。

 

このように柏市は住宅地域だけでも多面的であり、その他、国道16号沿いの大規模倉庫用地等はこの数年でかなり高騰しましたし、路線商業地域も好調です。

 

なかなか一口で言い表すことが難しい柏市の地価動向ですが、今後も日々、事例を追いながら注視していきたい所存です。